【カメラ写真初心者必見!】現役フォトグラファーが語る「いい写真」の概念と上達方法を徹底解説!

ミラーレス・一眼レフ

SNSに載っている写真を見て、「こんないい写真を私も撮ってみたいな..」と思った経験がある人は多いのではないでしょうか。では、皆さんが想像する「いい写真」とは、一体どのような写真でしょうか。

というわけで、今回は「いい写真」とは何かについて、現役ウェディングフォトグラファーからの観点や私の師匠から学んだことを元に、深堀り・解説していきます。

「いい写真」とは

「いい写真」とは|言語化と情報の整理ができている写真

まず、「いい写真」とは何か、結論からお伝えします。

結論

いい写真とは、言語化と情報の整理ができている写真のこと!

Takane
Takane

「え!?言語化と情報の整理!?」と混乱するかもしれませんが、安心してください!
しっかり説明していきます。

では、言語化と情報の整理とは何か。それぞれの説明が以下になります。

言語化「写真を通して見る人に何を伝えたいのか」という明確にするスキル

情報の整理言語化された内容を正しく伝えるスキル

言語化できている「いい写真」とは

言語化とは「写真を見る人に何を伝えたいのか」という明確にするスキルです。

撮影者がどのような写真を撮りたいのかを明確にし、見る人の視点に立ち、伝わりやすい写真を撮ることが重要です。

では、どのようにすれば伝わりやすい写真になるのか、5つのポイントにまとめました。

写真を言語化するべき5つのポイント


以下が写真を言語化するための5つのポイントです

①写真を見る人
②伝えたい情報
③撮影場所(背景・立ち位置)の理由
④写真を見た
時の感情・行動
⑤写真を見るタイミング

私は最低限この5つのポイントは頭で整理した上で撮影するようにしています。その他にも様々な状況を言語化した方が良いですが、撮影シーンの必要に応じて考えています。(例えば…服装、撮影で使う小物、ポーズなどなど)

では、それぞれのポイントについて解説していきます。

写真を見る人

写真を撮る時に一番考えてほしいことです。撮影した写真は誰が見るのか?この問いの答えを決めずに撮影すると、メッセージ性がわかりづらくなってしまいます。

誰が写真を見るのか明確化し、見る人の視点に立って写真を撮ることが重要です。

私の携帯フォルダに入っていた謎の写真です。誰に見せたかったのか…。昔の私は何を伝えたかったのでしょう…。こうならないように、写真を見る人を明確にしましょう

②伝えたい情報

写真用語で言えば、「主題」「副題」に当たるものです。つまり、写真の中での主役と脇役を決める必要があります。恋愛映画で脇役が主役から恋人を奪って、ハッピーエンドになる映画ってないですよね?

写真も同じです。脇役が目立ちすぎると何の写真か分からなくなってしまいます。ですので、主役が何かをはっきり明確にしておきましょう。

以下の写真は、主題は中心のモデルさん、副題は周りの歩行者です。主題のモデルさんが写真からいなくなると、全速力で走ってるかのような写真になりますね。

意図があって、走ってるような写真を撮るのであればよいですが、見る人には何の写真か伝わりづらくなってしまいます。気をつけましょう。

③撮影場所(背景・立ち位置)の理由

写真は「主題」と「副題」だけでなく、背景や場所も重要です。

ワンピースを着た女の子の写真を撮る時に、薄暗いトンネルの中で撮影するのはあまりないです。(もはやホラーです)主題が綺麗になる背景選びが必要です

また、写真用語で「串刺し」と呼ばれる、建物や柱が頭から刺さらない立ち位置の調整が必要です。その他にも、光の向きやゴミ箱などの余計な情報を立ち位置を変えることで調整します。

④写真を見た時の感情・行動

一言で言えば、「撮影の意図」です。写真を見る人にどう感じてほしいのか、行動してほしいかを明確にします。

以下の写真は、世間は盛り上げるクリスマスの中で、水たまりに波紋を作り大切な人を待っている女性をイメージして撮りました。波紋によって時間がゆっくり流れる経過を表現しました。また、モノクロで表現することで、冬の寒さや心の寂しさを伝えたい意図があります。

⑤写真を見るタイミング

写真を見るタイミングも重要です。写真は、何十年と記録として残すことができます。そのため、写真をもらった直後と何十年後かでは、写真を見た時の感情が異なります。

例えば、卒業アルバムはまさにそうです。卒業時にもらった時の感情と卒業の10年後では、写真を見て抱く感情は異なるはずです。10年後に見た時には、あの子のこと好きだったなみたいな会話になりそうですよね。

Takane
Takane

以下のように見るタイミングで、感情が異なります。

・卒業時:卒業の寂しさ、学校生活の思い出、進路への希望
・卒業後の10年:友人・恋人への懐かしさ、学校生活の思い出

事例紹介

私が学校の宿泊行事に撮影スタッフとして帯同した時に、考えていた5つのポイントが以下です。

事例(学校の宿泊行事)
①写真を見る人生徒の親
②伝えたい情報生徒が家では見せない一生懸命な姿
③撮影場所(背景・立ち位置)の理由撮影状況による。
④写真を見た時の感情・行動「うちの子のこんな真剣な顔を初めて見た
⑤写真を見るタイミング納品直後


意識した点は写真を見る人と撮られる人が異なることです。

生徒の親は宿泊行事には参加しませんので、我が子が何をしていたのか、写真でしかわかりません。そのため、写真で何をしていたかを知りたいはずです。さらに、家ではなかなか見られない姿を見られれば、なお親は嬉しいはずだと推測し、言語化しました。

宿泊行事中は、生徒の親を思い浮かべながら、どんな写真だと喜ぶかを意識して撮影しました。

Takane
Takane

言語化をした上で、写真を撮影していくと伝えたいメッセージ性がわかりやすいですよね

ここまで言語化について解説してきましたが、言語化をした内容をわかりやすく、表現するためには情報の整理が必要です。情報の整理について解説していきます。

情報の整理ができている「いい写真」とは

情報の整理は言語化された内容を正しく伝えるスキルです。つまり、言語化された内容を正しく伝えられていれば「いい写真」となります。では、情報の整理について具体的に解説していきます

情報の整理とは情報の足し算・引き算

情報の整理とは、画角の中で情報が必要か不必要か判断することを指します。情報とは、写真の中で目に入ってしまう要素のことです。

画角の中に情報が多く、主題がわかりづらいときは副題を引き算をする。
画角の中に情報が少なく、副題が見つからないときは副題を足し算をする。
→情報の足し算・引き算と呼んでいます。

写真を使って詳しく説明します。

情報が多い例
Photo by Takane

情報が多い写真には、以下の特徴があります。
 ・主題・伝えたい内容がわかりづらい
 ・主題が目立たない
 ・全体にまとまりがない

Takane
Takane

情報が多いと、主題が何かわからない写真となってしまっています。

情報が少ない例
Photo by Takane

情報が少ない写真には、以下の特徴があります。
 ・伝えたい内容がわかりづらい
 ・主題が目立ちすぎている。
 ・副題がない

上の写真は横浜みなとみらいの観覧車です。写真だけではどこの観覧車か判断しづらいので、ランドマークタワーを副題に使うことでより良い写真になりそうです。

情報のバランスがいい例
Photo by Takane

情報のバランスがいい写真には、以下の特徴があります。
・伝えたい内容がわかりやすい
・主題と副題が明確になっている
・写真のメッセージが理解できる
・わかりやすい構図になっている

気をつけてほしいこと

「写真は情報の引き算だ」という謳い文句に惑わされないことです。写真業界ではこのような謳い文句を聞いたり見たりすることがあります。ですが、闇雲に引き算をしても「いい写真」にはならないです。理由は言語化をしていないからです。

こちらも先ほどと同じ写真で説明していきます。主題はモデルさん、副題は周りの歩行者です。写真から情報の引き算をして、副題の歩行者を消した場合、モデルが通路に立っているだけの写真になってしまいます。

また、この写真は「雨でもせわしない渋谷の時間が止まる面白さをテーマ」に撮影しました。しかし、副題が引き算されるとテーマにそぐわない写真になってしまいます。

言語化を予めしてから、情報の引き算をするべきか足し算をするべきか判断する必要があるのです。

言語化と情報の整理の練習方法

「言語化」と「情報の整理」は、練習をして上達していく必要があります。そこで、これらを身につけるための練習方法について解説していきます。

Takane
Takane

実際に私が普段行っている練習方法です。

練習方法はたったの3つです。
 ①写真の分析をする
 ②真似する
 ③カメラを持ち歩いて撮影頻度を増やす

写真の分析をする

上手だなと思う写真・フォトグラファーを見つけて、その写真を分析します。
分析内容は以下です。

・言語化の5つのポイント(予想でOKです)
・情報のバランスがいい理由(考察でOKです)
・撮影の時間帯
・場所
・モデルさんの立ち位置
・ポーズ
・構図
・光の捉え方
・カメラの設定(F値・シャッタースピード・ISO)

上手な写真やフォトグラファーさんはInstagramとPintarestを使って探しています。

真似する

写真の分析ができたら、分析した写真と同じ写真になるように撮影します。同じように撮影しても、最初は全く同じ写真にはならないと思います。できるだけ同じ写真になるように試行錯誤を繰り返します。

全く同じ写真を撮れるようになることで、分析した写真の工夫や癖を学ぶことができます。工夫や癖はフォトグラファーによって違います。できるだけ異なる写真を真似るようにした方が望ましいです。

カメラを持ち歩いて撮影頻度を増やす

シャッター回数に応じて、上達速度も変わります。できるだけ多くの写真を撮れるように、カメラを常に持ち歩くことをおすすめします。

ちなみに私は2022年の1年間で、約22万枚のシャッターを切りました。1月と12月の写真を見比べると変化が顕著にありました。

Lightroomのキャプチャー

最後に|いい写真は人それぞれ。楽しければそれでいい。

ここまで言語化や情報の整理について解説してきましたが、写真には2つの側面を持っています。メッセージ性のある写真と芸術的な写真です

芸術的な写真であれば、自分の感性を創作・表現するものなので、相手にわかりやすく伝える必要はなくなります。一方で、メッセージ性のある写真は見る人が必ずいて、見る人に分かりやすく伝える必要があります。

それぞれの方向性によって、「いい写真」の定義が変化します。その方向性に良し悪しはないです。ただ、写真撮影を楽しむことがどちらの根本にもあり、それこそが最も重要なことだと私は考えています。楽しいことを追求した結果、「いい写真」に辿り着くのではないでしょうか。それがクリエイティブであり、写真の面白さだと私は思います。

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